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コンサータ処方の流れが変わります

代表です。

 

いささか寒くなってまいりましたが、皆さま体調崩していないでしょうか。

私はしょっちゅう風邪気味になります...昔からですが。

 

コンサータの流通管理が変わる 

さて、ADHDの治療薬として処方されるコンサータですが、この12月(もうすぐですね)から処方の流れが変わります。

一言で言えば、これまでの規制に比べ、患者登録が必要になる点で更に処方管理が厳格化、されます。

これまでも、コンサータは、開発元のヤンセンファーマとは独立したコンサータ錠適正流通管理委員会(以下、流通管理委員会)を通じて、処方医師が医療機関とセットで登録され(登録医師)、かつ調剤薬局も同委員会を通じて登録されていました。

つまり、処方できる医師も薬局も登録者に限定されており、しかも医師登録は医療機関とセットなため、同じ医師でもA病院では処方可能、B病院では不可ということもあり得る状態です。

 下図の「これまで」の流れです。

f:id:RIDC_JP:20191121232657j:plain

これが、令和元年(2019年)12月1日よりシステムが変わるわけです。図の「これから」の部分が追加です。

 つまり、コンサータ処方の際には、医師と薬局に加えて、患者同意と、患者情報(イニシャル、性別、生年月日)が管理システムに登録され、ID番号を記載された患者カードが登録事務局から患者に交付され、登録医師は処方内容を管理システムに入力し、処方箋を発行できます。

随分、処方の手間がかかることになりますね。

このお達しは登録医師には9月18日付けでメールが来てました。

患者登録部分に関わる記載を引用します(色、太字などは筆者)

・新流通管理は、2019年12月1日より実施いたします。
 2020年6月30日まで経過措置とし、2020年7月1日以降も登録を継続いただく場合は、2019年12月に稼働する管理システムにて2020年6月30日までに再登録をお願いいたします
・新流通管理では、登録医師が患者又は代諾者から同意を取得し、患者のイニシャル・生年月日・性別等の情報を管理システムに登録し、患者の重複登録がないことの確認を経て患者ID・患者カードが発行されます。
・登録医師が患者ID及び過去の処方内容を確認した上で、新たに処方する内容を管理システムに登録し、処方箋を発行していただきます。
2019年12月1日以降に新たに本剤を服用する患者については患者登録が必要となります。2019年11月30日以前に本剤を服用していた患者についても、2021年1月1日以降には全て登録が必要となりますので、お早めに患者登録いただきますようお願いいたします。詳細は改めてご案内いたします。

 

まとめます。

新しく処方される患者さん   ⇛  流通管理委員会からのIDカードが発行されてから

これまでの処方患者 さん(2019年11月30日まで) ⇛ 2021年1月1日以降は登録されている必要

 多分、今処方されている皆さんの心配は、12月1日から処方されるんだろうか?ということだと思いますが、基本的には大丈夫です。 移行期間は来年までありますから、少なくてもしばらく外来に行って処方されない、ということは無いでしょう。

ただし、今後も処方が必要な場合には、2020年中には患者カードを発行してもらう、ことが必須です。

 

医師にとって処方行動は変わるか?

一定程度変わらざるを得ないと思います。

処方の厳格運用自体は、コンサータの薬としての性質を考えると止むをえない部分があるとも思いますが、この手間を経ないといけないとなると、第1選択としては使いづらくなるのは確実です。診断までに一定の検査等を経るとはいえ、診断した日には普通は処方を考えますから、その時点で患者カードが届いていない状態で、かつ服薬が早いほうが良ければ、必然的に他の薬(ストラテラとインチュニブ)から選択することになります。

薬を使う際には、必ずしも長期はまだ想定しなくても、一旦コンサータを使ってみて、あっているかどうか、ある意味試すことがあるのですが、そういう形での処方は難しくなるでしょう。 

私としては、患者カードがどれくらいの期間で発行されるようになるのかが最大の懸念です。

特に子どもに対して迅速な治療の機会を逸してしまうのは心配ではあります。また、転院時はどうなのか、他院からのものを継続使用できるのか、というのも心配なところでしょうか。

 いずれにしても、流通管理委員会には、次の情報を早くしていただければ、と。

 

ところで、こういった体制がどうしてできたか、はここでは割愛しますが、他の薬と比較すればかなり厳格に処方管理されているのは確かです。

 

この制度は平成19年(2008年)より実施され、最初期は登録医師590名、登録薬局が約2500ほどでスタートしているようですね。

公開されているコンサータ錠適正流通管理委員会の委員会議事録を見ると登録の一時停止処分なども時にくだされているのがうかがえます。

コンサータ錠適正流通管理委員会:委員会からの情報

 ちなみに私は2015年11月登録です。医師になり15年目での登録ですから遅いほう。それまでは処方が必要な時には登録医師にしていただいてました。

 

新情報が来ましたらまたお知らせするつもりです。

 

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 発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)

本記事は株式会社ライデックによって作成されました。できるだけ、簡単でわかりやすい言葉で、英語を日本語に意訳していますが、データの解釈や内容表現に誤りがあれば、コメント欄にてご指摘ください。また、弊社HPTwitterにてさまざまな発達特性情報を発信していますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください。

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