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コンサータ処方の流れが変わりました

代表です。

11月にコンサータの新流通システムについて書きましたが、いよいよ12/2より運用が始まりましたので、続報をお知らせしようかと思います。

 

www.tsudanuma-ridc.com

 

前回書いたように、コンサータを今後処方するときには、患者登録が必要になる点で更に処方管理が厳格化されます。

 

これまでもコンサータ処方はコンサータ錠適正流通管理委員会に登録された医師と薬局でされてきましたが、今回からは患者登録も加わったということになります。

 

コンサータの流通規制は、同じ成分(メチルフェニデート)を持つリタリンという薬が一部で乱用されたり、適応でない患者にも処方を繰り返していた不届き者医師がいたから始まったという面があります。

 

今回は、そういった不祥事絡みではなく、新しく認可された、コンサータと同じ中枢刺激薬、ビバンセ(成分名:リスデキサンフェタミン)の発売にあたり、流通規制を 一括管理したい国の思惑があるのだろうと思います。

 

ビバンセ、についてはまたそのうち書きますが、今日は患者登録の流れについて。

 

ADHD適正流通管理システムへの登録に必要な情報

 

流通管理システムの名前は、ビバンセも加わったことにより、コンサータ錠適正流通管理システムからADHD適正流通管理システム(以下流通システム)に変更しているようです。

 f:id:RIDC_JP:20191225140409p:plain

そう、もともとはイニシャル、性別、生年月日を登録しますよ、という話が事前にあったのですが、その他、登録時に必要なもの、情報が増えました。

 

それが、図の通り、身分証、薬物乱用の有無に関する情報、そして、第三者からの症状に関する情報、です。

 

そんなの知らなかったぞと言いたいところですが、中枢刺激薬を使う以上は薬物乱用歴の情報は乱用リスクをしっかり把握するために必要でしょう(乱用歴があっても処方できない、というわけではありません)。

 

また、第三者からの情報として、通知表、連絡帳、母子手帳などが例に挙げられているのは、ADHD症状の発現が診断基準上、12歳以前からあることが前提なためでしょう。

 

そういう意味では、リスクは把握しているよね、診断基準に合致しているよね、というのを2つの質問で確認しているといえるのかもしれません。

 

ただ、まあ以前私が書いたように、一部のADHDの方(特に女性)では周囲からの情報が当てにならないので、第三者情報が厳密には手に入らない可能性はあると思いますが...。

 

www.tsudanuma-ridc.com

 

そしてこの流通システムへの登録に関しては以下知っておく必要があります。

 

新しく処方される方   ⇛  基本的には流通システムからの患者カードが発行されてから

これまで処方歴のある方(2019年11月30日まで) ⇛ 2021年1月1日以降は登録されている必要

 

そう、新しくコンサータ/ビバンセが処方されるためには、流通システムからの「患者カード」が原則必要ですし、今まで処方されていた方も、2020年中には流通システムへの登録が必要です。

 

さらに、処方医師は2020年6月30日までに、登録医師として流通システムに登録されている必要があります

 

登録後は患者カード必携です

 

さて、登録の流れと、その後の注意は以下の図を参考にして下さい。

 

f:id:RIDC_JP:20191226062234p:plain

 

はい、流通システム登録医師が、流通システムに患者情報を登録すると患者カードが発行され、それが医師を通じて患者に渡される、という流れですね。

 

患者カード発行後に必要なことは主に2つ。懸念事項も一緒に書いておきます。

 

①医師は処方のたびに処方内容(何を、何mg、何錠、何日分)を登録

 (懸念事項)

・入力時間の増加による外来診察時間(次の人以降の待ち時間)の増加

・オンライン端末の無い外来ではどのように対応?

・入力時間待ちによる、会計時間の増加

 

②処方せんを薬局に提示時には、身分証、患者カードも必要             

(懸念事項)

・情報登録⇛申請後にいつ患者カードが届くか今のところ不明です。

 ただし、初回処方限定のID記載用紙印刷という手はあるので、初診でも出せないわけではないですが、患者カードが届く前に次回の外来受診設定が難しいなあと思います。副作用確認のために、最初は短めにね、とかしていたんですが、1週間後に来て、良いようなら継続しますよ、というときに患者カードが無いとねえ...いや迅速にぱっと発行されて来るのかもしれませんが...。

・転院時は、患者カードがあれば大丈夫、なはずですが、転院先の医師が流通システムに登録済みであるかどうか確認が必要です。多分ですが、2020年6月30日までは、流通システムに未登録であっても、患者カードがあれば処方歴があるので、大丈夫だとは思います

紛失時は、登録医師を通じて新しく登録が必要です。その分、処方の遅れにつながる可能性はあります。一応図の通り、救済策はあります。

 

でも、普通に病院・薬局に忘れた時、どうなのでしょうか?

基本的に患者カードが必要なのですが、今までも通院をきちんとしてる方に対して、今日患者カードが無いからといって、何もかもわかっているのに処方しない、処方箋を受け付けない、というのは倫理的にどうなの?と感じます。

しばらくしたら問題になりそうですね...

また、そもそも、ADHDの方は忘れ物をしやすいのに、必ず持参、みたいな条件を課すのはやや理不尽な気がしないでもありません...まあ自動車免許のように外出時は必ず持つ、とか、保険証のように受診の際には必ず持つ、と身体に染み込ませていただくのが医療者側の希望となるでしょう。

 

コンサータ、ビバンセは第一選択薬なのに...

 

医療的に一番の問題点は、両薬とも世界的に第一選択薬として推奨されているのに、第一選択薬としては非常に使いづらくなった、ということだと感じています。

 

処方濫発の医師、乱用リスクのある一部の患者さん、と行政から見れば問題と考える要素はあるのでしょうが、もっと現実的にやりやすい方法はなかったのでしょうかね...

 

さて、blogの更新は今年最後になります。

皆さま良いお年を。

また来年もよろしくお願いします。

 

 

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