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AA、断酒会、いわゆる自助グループ

こんにちは。スタッフ齊藤です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は「自助グループ」について書こうと思います。

一体何それ?と思う方もいるかもしれませんね。私も始めて「AA」という言葉を耳にした時は、何だそれ?アイテムか!?と思ったりもしました。

 

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自助グループ(Self-Help-Group)とは

 自助グループはある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その障害を様々な形で克服していくための集団です。有名な自助グループといえば、後に述べる「AA」や「断酒会」があります。

 

自助グループは専門家による治療ではありません。ですが、同じ悩みや障害を抱える人達が集まって、「体験談や悩みを話し、聞き、共感する・してもらう」ということが、回復に一役買っていると言われています。

 

調べるとさまざまな自助グループがあるのですが、

共通したルールは原則として「言いっぱなし聞きっぱなし」です。

  

www.e-healthnet.mhlw.go.jp

  

AA(Alcoholics Anonymous:アルコホリクスアノニマス)とは

エーエーと呼んでいます。1935年にアメリカで結成された自助グループの原型でもあります。日本語では「匿名(無名の)アルコール依存症者の会」と訳されていますね。

AAのホームページで、「メンバーになるために必要なことは、飲酒をやめたいという願いだけ」と謳われているように、アルコール依存症、アルコールをやめたい、飲まずに生きていきたい、といった方々のための自助グループです。

 

アルコール関係で苦しんでいる人たちのグループのため、基本的には参加できるのは当事者のみです。が、それ以外の方が参加できる会なども設けられています。もちろん会費もありませんし、料金を支払う事もありません!

 

そしてAnonymous(匿名)という名の通り、参加者は実名を名乗る必要がありません。参加する際はニックネームを使用し、年齢や職業、住まいなどの情報も伝える必要はありません(言っても構わない方はけっこう話していますが)。

実際の内容はというと、主に皆(一人づつ)、テーマに沿って飲酒に関する体験談を話していきます。その間周りの人は黙って聞きます。もちろん話終わっても質問とかはしません。話が終わったら次の人にバトンタッチです。

話せない、話したくない、まだ内容がまとまっていない、といった場合はもちろんスキップできます。後で話します、といった方もいましたね。

え、たったこれだけ?と思う方もいますかね。はい、これだけなんです。

そんなんで効果あるの?と思う方もいますかね。それについては記事後半に。

 
AAの会は定期的に開催されていますので、毎週参加する人もいれば、隔週や月1〜2回で参加するなど、その人その人によって様々です。
 

ホームページも情報が多く、AAのスケジュールも調べることができます。

  ちなみに「Al-Anon(アラノン)」という自助グループもあり、これは当事者の家族や友人達による自助グループです。

Al-Anon アラノン家族グループ

  

断酒会とは

「ダンシュカイ」という音の響きがインパクト強く感じられるのは私だけでしょうか・・・。

まさに「お酒を断つ」会なのですが、こちらはAAを参考にして、1958年に日本で独自につくられた組織です。公益社団法人全日本断酒連盟(全断連)が日本全国にある断酒会を統括しており、AAと違って組織化されています。 

全日本断酒連盟

 AAとの違いは、「実名を名乗る・会費がある・家族も一緒に参加する」といったところでしょうか。断酒会規範にもその旨が載っています。

 が、「言いっぱなし聞きっぱなし」というのはやはりAAと同様です。 

 

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実際に自助グループに関わってみて

 これまで私が関わってきた自助グループは「AA」と「リワークにおけるうつ病者の自助ブループ」です。

 

AAでは、“当事者以外も参加できる会”に参加してきました。

毎回15〜20名くらいの方が参加されていて、AA歴3ヶ月だったり7年だったり3ヶ月ぶりの参加だったり、と様々な方がいました。赤ちゃん連れのお母さんの参加もありますし、見るからに若い年代の参加者、おそらく70歳以上であろうと思われる方の参加なども。

 話すテーマは自由かな?と当初は思っていましたが、ちゃんといくつかテーマが用意されているんです。

例えば、

アノニミティーM(ミーティング)・・・「無名/匿名」にテーマを絞って行うミーティング

ビッグブックM・・・AA創始者が書いた書籍からテーマを絞って行うミーティング

リビングソーバー・・・「どうやって飲まないでいるか」という本からテーマを絞って行うミーティング 

 

などなど。

 当事者でない私はただ聞いて終わりなのか?というとそうではなく、毎回最後に参加した感想を話しました。会が終われば、個別に話をしたいという方もいたので、社会資源の話や今後の生活についての相談などを受けたりもしていました。

 

参加当初の私は、

「言いっぱなし」ってつまり、誰も反応してくれないんでしょ、話し終わった後シーンってなるんでしょ、みんなの目線だけが向けられていて・・・それってなんかバツが悪いというか恥ずかしいというか、ちょっと不安かも・・・そんな思いを抱いてたわけなんです。

 が、実際のところ、

感想を話し終えて皆から拍手をもらった時、懸念していた気持ちとは逆の、安堵というようなホッと(もしくはスッと)心が軽くなるような感覚を味わったのを覚えています。なんとも独特な感覚です。(形容が下手ですみません)

 

もう一つの「リワークでのうつ病者の自助グループ」について。

これは休職中でうつと診断された方で開催していました。医療機関でのリワークプログラムの一環として取り入れていたものす。

 

こちらはAAと違って少しアレンジしており、話すテーマは参加者から自由に提案してもらっていました。(休日の過ごし方・薬の副作用の有無について・仕事で困ったこと・職場での対人関係・復職したら気をつけていきたいこと、など)、一通り皆が話し終わったら、質問やアドバイスをしたり・してもらったりと、ディスカッションの時間も取り入れていました。

 

パワハラやモラハラ、オーバーワーク、働きにくい環境や難しい対人関係、の職場の中で「自分がダメだから」「ちゃんと出来ないから」「周りに迷惑かけちゃって」という気持ちをいつも抱えながら働いてきた参加者の方が多かったのですが、自助グループを通して「皆も似たような経験をしていた(自分だけじゃなかった)」「気持ちをわかってもらえた」「そういう風に考えてもいいんだ」「自分の責任と思わなくてもいいんだ」と、新しい気付きを発見でき、それだけで楽になれたと感想を述べる人がたくさんいました。

 

まとめ。実際のところ「言いっぱなし聞きっぱなし」ってどうなの?

どの自助グループにも共通する「言いっぱなし聞きっぱなし」というやり方。そんなんで効果はあるのか?と疑う声もよく聞くのですが、(AAや断酒会は)全国規模で普及していて、参加者も数千人の単位で存在するということより、やはり必要とされているものだと思います。

 

「あえて皆が反応しない(=聞きっぱなし)だから、自分の言いたい事が言える。突っ込まれることもないから、下手に気取ったり見栄を張って話す必要がなくなる」と、ある参加者が話をしていました。

当事者だからこその感想ではないでしょうか。

 

自分のネガティブに思っている部分・言えずに苦しんでいる事を素直にカミングアウトすることはとても勇気がいるものだと思います。でも自助グループはそういう事を話していい場所であり、話せる雰囲気があるんです。

 

「言いっぱなし」によって、自分のこれまでしてきた事への自己洞察が強まります。その時の気持ちや真情を語る事で反省も生まれます。

そしてそれは「聞きっぱなし」によって拒否されたり否定や説教をされるのではなく、認められ受け入れられます。

他の人の話を聞くことで、自分と似ているところがあると感じたり、自分だけが違うのではないと思います。みんな仲間なんだ、という一体感が生まれます。

 

自助グループからもたらされるもの、「気づき、自覚、受容、問題解決、癒し、仲間etcetc」などでしょうか。

とても大切な社会資源だと思います。

 

今日はアルコールの自助グループについてでしたが、他にもいろいろとあります。

GA、NA、OA、ACAなど。気になる方はチェックしてみて下さい。

 

 

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最後に、「だらしない夫じゃなくて依存症でした」という漫画のリンクを貼っておきます。アルコール依存症についてのストーリーですが、ここでもAAの事が出てきて、当事者や関係者の気持ちが描かれています。

 

この漫画があまりにもリアルなのは、厚生労働省と専門家が監修しているからでしょうか。説得力が半端ないです。

当事者がどうすればいいか、だけでなく、周囲の人がどうしたらいいか、もしっかりと描かれています。

 

www.jiji.com

 

それではまた!

 

 

アルコール依存症治療革命

アルコール依存症治療革命

  • 作者:成瀬 暢也
  • 出版社/メーカー: 中外医学社
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 ここからは代表です。

アルコール依存、その治療に関しては従来かなり特殊なものと捉えられていました。アルコール依存症の患者は社会生活が崩壊し、また再飲酒を繰り返す可能性を考えると特別な治療構造を作れる専門病院でないと治療にはあたれない...というようなイメージ。通常の外来ではとても取り扱えない、という感じですね。

 

しかし、本書の著者成瀬氏はそういった見方に異を唱えます。そういった「思い込み」は、従来精神医療が対象としていた非常に重度な患者さんがたをアルコール依存症の「中核群」とイメージしているからであるという。実はアルコール依存症の中核群は軽症〜中等症群なのだと。


例えば、2014年に報告された厚労省のアルコール健康障害対策推進基本計画 によれば、成人の飲酒行動アンケートからは我が国にアルコール依存症の生涯経験者は100万人を超える一方で、患者数(=治療を受けている人)は4-5万人前後に過ぎないとされています。

 

そう、いわゆるアルコール依存症の悲惨な例として認識されている(た)方々は重症例であり、氷山の一角に過ぎず、その背後には沢山の「軽症〜中等度」の方が隠れていたのです。

 

その方たちの治療は、普通のクリニックで可能であり、そうせねばならないと成瀬氏は説きます。

 

実際、新しい診断基準、DSM-5では、「アルコール依存症」は「アルコール使用障害」へと診断名を変えています。アルコールへのスタンスも、断酒至上主義から、節酒・飲酒量低減という「ハームリダクション」の考え方で臨むことが可能です。アルコールへの渇望を抑える抗渇望薬という分類にあたる薬も出てきましたしね。

 

 そんなわけでアルコール依存の治療は変わりつつある、というのは以前私のblogに書いてありますので、さらなる興味をいだいた方は読んでくださいね。

 

neurophys11.hatenablog.com

 

 

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