こんにちは。スタッフの田汲です。
今回は、認知行動療法という精神・心理療法について、基本的な概要のところをお話したいと思います。
認知行動療法って?
認知行動療法とは、認知や行動に介入することで、問題解決をめざす心理療法です。
もともとあった行動療法に、うつ病を研究していたアメリカ人精神科医ベックが提唱した認知療法が90年代に統合され、今日まで発展してきました。
現在は、マインドフルネスやACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)のような、“第3世代の認知行動療法”と呼ばれる精神療法など、その裾野が広がってきています。
こちらの本は、初学者の専門家向けにも、詳しく知りたい一般の方向けとしても、とてもわかりやすい本だと思います。
図解も多く、個人的におすすめです。
そもそも“認知”という言葉をみなさんは知っていますか?
普段はあまりなじみのないキーワードかもしれませんね。
認知とは、「できごとやものごとの受け取り方・捉え方」のことをいいます。
たとえば、「宿題を忘れた」というできごとが起こったとき。
Aさんは「やってしまった。私はダメな人間だ」、Bさんは「急いでいたからしょうがない。明日持ってこよう」。
同じできごとでも、受け取り方は人それぞれです。
そして、上の例では、Aさんはとても落ち込むかもしれませんが、Bさんはそこまで落ち込まずに済んでいたかもしれませんね。
これはつまり、受け取り方が=認知が、感情の動きに大きな影響を与えているということです。
認知行動療法の方法の中のひとつでは、このような認知と感情の関係を理解し、受け取り方を変えることで感情の変化を促します。
認知行動療法ってどんな人が対象?
認知行動療法は、どんな人・どんな疾患に使われてきたのでしょうか。
もともとベックは、うつ病の方にみられる認知=捉え方のゆがみに対し、そこにアプローチする方法として、認知療法の提供をすすめてきました。
また、「治療効果を実証しながら治療技法を開発・発展する」実践の仕方を“evidence-based medicine(EBM)”と呼びますが、認知行動療法はこの立場から、実践と効果の測定を繰り返してきています。
そんな流れもあり、現在アメリカの精神医学会のガイドラインでは、軽度〜中等度のうつ病の治療法の第一選択しとして、薬物療法と並んで認知行動療法が挙がるようになっています。
つまり、“うつ病にエビデンスのある治療方法として、国が認知行動療法を認めている”ということです。
その他にも、パニック障害などの不安症郡や強迫性障害に対しても、メジャーな治療の選択肢とされています。
たとえば、うつ病であれば認知再構成法・活動記録表、強迫性障害であれば暴露反応妨害法など、効果があることが実証されてきた技法がいくつもあります。
日本でも、これまで認知行動療法を用いた治療とその効果について、厚生労働省による調査研究がすすめられ、ガイドラインが作成されるまでに至っています。
また、2010年の診療報酬の改訂により、一定の条件はあるものの、認知療法・認知行動療法が診療報酬の対象となっています。
2016年には不安症郡やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、2018年には神経性過食症にも、徐々に対象が広がってきている現状があります。
一方で、医療機関以外では受けられる場所が限られていること、認知行動療法のトレーニングが十分に提供できる専門家の供給など、課題も残されています。
症状の見立てと適切な治療を行える治療者が増えていくことが、今後望まれます。
認知行動療法を受けられる場所
先に述べたような課題もある認知行動療法ですが、医療機関以外でも受けることができます。
たとえば、
・大学附属の心理相談センター
・大学附属の認知行動療法センター
・認知行動療法に明るい心理士のいる私設相談室
などなど。
具体的には、以下のような場所などがあります。
いずれにせよ、今の症状や経緯についての相談の後、認知行動療法が適切かどうかを判断してからの治療開始となります。
そして、ライデックでも、対自分コーチングのプログラムの中で、 認知行動療法について扱っています。
認知行動療法の考え方に関する基本的な知識から、日常生活で使える認知行動療法の技法を身に付けるところまで、心理士・精神保健福祉士などの専門スタッフと一緒にトライすることができます。
気になった方はぜひ一度お問い合わせくださいね。
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発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)
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