代表です。
新型コロナウイルス感染に関しては、日々様々な対策が状況に応じてとられる中で、4/7に発令された緊急事態宣言も5/31まで延長になりましたね。
自粛の効果は着実に見えてきたと感じますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
ライデックでは対面業務を自粛した4/2以降業務を行っていませんが、代表である私は外来で通常診療を続けています。
ただし、患者の皆さんには診察間隔を伸ばしたり、電話診療やオンラインによる診療を開始したりで、出来る限り待合室が混むことの無いよう、三密状況を回避することを念頭に行っています。不便を受け入れてくださっている方には本当に感謝しています。
さて、何度かこのblogやTwitterでも言及したように、抗ADHD薬は昨年から今年にかけてその使用状況が変わってきました。
標準薬のコンサータ(メチルフェニデート)は、その処方にあたって、以前の処方医師と薬局の登録に加えて、患者のイニシャル・生年月日・性別(ちなみに、男女の他、その他も選べます)も登録するようになりました。
もともとコンサータを出していた方々に加え、新たに処方する方も当然いるのですが、少しずつ進めています。
ただし、今、新型コロナウイルス対応で、電話やオンラインでの処方箋発行がかなり進んでいることはご存知のことと思います。
そういった中で、今回のコンサータ処方システムを厳格に運用すると 、コンサータの登録がされた方だけは、患者カードを処方の度に確認しなくてはいけないので難しいことになってしまいます。そういう意味では、従来出されていた方に関しては、登録を急がないようにしています。
また、以前は、この登録システムによってコンサータが使いづらくなる可能性に言及しましたが、個人的にはそんなに感じていません。患者カードが来た皆さんも全員ちゃんと持参してくださっていますし。
抗ADHD薬価格について
さて、以前も抗ADHD薬の価格面に言及しましたが、現在主に使っているコンサータ、ストラテラ、インチュニブという3つの薬に対して、1つ大きな制約があるとすれば、価格、と感じています。ストラテラに関しては、ジェネリックが出ましたので、かなり緩和されたのですが、コンサータ、インチュニブを3割負担で続けていく、というのは結構な経済的負担と思います。
今回改めて表を作ってみました。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブの3薬について3割負担時と、自立支援医療を受けて1割負担になったときの価格差を表にしています。ストラテラに関しては既にジェネリックがありますので、ジェネリック薬については3割負担時の先発品との価格差を示しています。
どうでしょうね、先発品はどれも非常に高いことがわかります。
特に、ストラテラ先発品と、インチュニブの価格は高く、長く続けるにあたっては、医療費を安くする自立支援医療制度の利用を考えてみて下さい。
医療を受けるにあたって、治療薬のコストは無視できるものではありません。
医療者は往々にしてそういう点に無自覚ですし、受療側も自費分以外に考えを馳せることは少ないと思いますが、日本の皆保険制度は我々自身から徴収された健康保険費用によって賄われてるのですから、薬がどのくらいの値段なのか、は自覚的で良いと思います。
ところで、ちょっと面白い(私的にはですが...)のですが、英語サイトには処方薬がuser側からレーティングするサイトがありまして、いろんな薬を飲んだ人が評価しています。アマゾンのブックレビューみたいに。
3つの抗ADHD薬のレビューをみると...
レーティングを単純に順位付けすると、満足度は、コンサータ>インチュニブ>ストラテラですが、よく見ると、インチュニブとストラテラは上位評価と下位評価がきれいに分かれて両極端、コンサータは概ね評価が高いことがわかります。
こういった自覚的評価は、必ずしも客観的評価や医学的に見た際の妥当な評価と相容れないことがあるのは要注意なのですが、非中枢性とされるストラテラとインチュニブは、「効く人には効くし、効かない人には効かない、ないしは副作用が強い」ということなのでしょう。コンサータも低い評価では「1」の比率が一番高いことが特徴的に思えます。
個人個人のレビューを見ると、皆さん実に多彩な感想を書いているのですが、服薬して何がどう変わったのか、をかなりしっかりと評価しているのを感じます。
ADHDにおいて、薬は是が非でも必要な選択肢、とは限りません。それだけに効果や副作用、それにコストを考えたときのメリットに関して、服薬することで生活が良い方向に変わった部分があるかどうか、はしっかり自覚して、医師にも伝えてみて下さい。
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発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)
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