こんにちは。ライデックの齊藤です。
ジメジメとした天気が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。暑い日も出てきてマスク着用も大変ですが、体調管理とコロナ対策、引き続き継続していきたいですね。
今日は、成年後見制度について書こうかと思います。私自身これまで携わった事のない制度だったこともあり、内容についてはぼんやりとしか把握していませんでした。
今日はこの制度がどういったものなのかを、簡単にまとめてお伝えしよかと思います。制度を利用する際も色々と手順がありますので、それについは後日またブログでまとめようと思います。
成年後見制度とは
法的な権限に基づいて、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方を保護・支援し、権利を擁護するための制度のことをいいます。
例えば、不動産や預貯金などの財産管理や、介護サービスや施設入所に関する契約の締結、遺産分割の協議、また悪徳商法などの不利益な契約の取り消し、等々。
主には上記のような場面でこの制度が関わってきます。
成年後見制度の概略
成年後見制度は「法定後見」と「任意後見」の2つに分かれます。そして「法定後見」はさらに「成年後見」「保佐」「補助」の3つに分かれ、本人の判断能力に応じてこの3つのいずれかの制度が利用されます。
「成年後見」・「保佐」・「補助」制度の違い
それぞれの制度は対象とする人も、各制度が持つ権限も異なります。簡単にまとめてみます。
成年後見・・・対象は、判断能力がまったくない方(“成年被後見人”と言います)。成年後見人が選任され、成年被後見人を保護・支援します。
<成年後見人の持つ権限>
①代理権・・被後見人に代わって、本人の利益を考慮してさまざまな契約等をします。財産に関するすべての法律行為に代理権があります。
②取消権・・被後見人が行ってしまった本人にとって不利益な契約等を取り消します。(取消により、契約は遡及的に無効になります。)
保佐・・・対象は、判断能力が著しく不十分な方(“被保佐人”と言います)。保佐人が選任され、被保佐人を保護・支援します。
<保佐人の持つ権限>
①同意権・・重要な財産行為について同意をします。被保佐人と一緒に(連名で)同意することで初めてその行為が成立します。(同意がないと契約等ができません)
②取消権・・被保佐人が行ってしまった契約等を取り消します。
(③)代理権・・必要な場合に、必要な範囲で代理権が付与されます。が、保佐人に代理権を付与するには、本人(被保佐人)の同意が必要となります。
補助・・対象は、判断能力が不十分な方。(“被補助人”と言います)補助人が選任され、被補助人を保護・支援します。
<補助人の持つ権限>
後見人や保佐人とは異なり、いずれの権限も申立てにより、必要な場合に必要な範囲で権限が付与されます。
(①)同意権・・必要な範囲で付与されます。
(②)取消権・・必要な範囲で付与されます。
(③)代理権・・必要な範囲で付与されます。
※ちなみに、日用品(食料品や衣料品等)の購入などの「日常生活に関する行為」については、自己決定の尊重の観点から、これら制度がもつ権限は適用されずに、当事者本人が一人でできます。
そして、後見人・保佐人・補助人はどのように決まるかというと、裁判所によって選任されます。本人は判断能力が既に無い又は不十分な状態であるため、自分で自分の後見人等を選ぶことが困難だからです。
任意後見とは?
本人が十分な判断能力があるうちに、あらかじめ契約によって、「誰に(=任意後見人)、どのような内容の支援をしてもうか」を、自分で決めておく制度です。判断能力が不十分になった時、その契約に基づいて任意後見人が支援をします。
任意後見の契約は、公証役場というところで行われます。公証人が作成する公正証書により契約締結となります。
任意後見の契約開始はいつから?
任意後見人の契約(仕事)は、本人の判断能力が衰えた時に開始されます。
開始にあたっては、まずは家庭裁判所にその旨の申立てをしないといけないのですが、裁判所で「任意後見監督人」という者が選任されると、任意後見人の仕事が実際に始まります。
①任意後見の申立て → ②任意後見監督人の選任 → ③任意後見の開始
という流れですね。
この「任意後見監督人」というのは、任意後見人が契約の内容どおりにきちんと仕事をしているかを監督する人のことです。判断能力が衰えてきた本人と任意後見人の利益が相反する法律行為を行う時などは、任意後見監督人が本人の代理となります。
要は、任意後見人がズルをしないよう見張り役をする人ですね。この「監督人」は、任意後見制度では全件で選任されますが、法定後見制度では、必要に応じて家庭裁判所の判断で選任がされます。
まとめ
かい摘んで制度のことを書きましたが、法定後見と任意後見の大きな違いを挙げると以下のところでしょうか。
法定後見・・「判断能力の無い、もしくは衰えた」本人を、裁判所で選ばれた後見人等が助けるという制度。制度は3つ(成年後見、保佐、補助)に分かれていて、それぞれが持つ権限は異なり、それにより支援・保護の内容も少しずつ変わってくる。
任意後見・・「自分の判断能力がある」うちに、自分で後見人を選んだり支援内容を決めて、あらかじめ契約を結んでおく制度。あくまで契約なので、任意後見人の権限も契約で決まる。
制度の詳細はネットでも多く検索できます。わたし達が将来、必要とするかもしれない制度の1つかと思いますし、皆が知っておいて損はないと思います。次回は法定後見制度の利用の流れや、留意点などについて書いてみます。
それでは、また。
***************************************
ライデックでは、ブログ以外でも様々な発達障害の情報を発信しています。気になる方は、公式HPや公式Twitterをチェックしてみてください。
⇢お気に入り登録、いいね等応援よろしくお願いいたします!
⇢また、読者のみなさまから紹介してほしい発達障害の話題や記事に対するコメントもお待ちしています!
***************************************
発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)
本記事は株式会社ライデックによって作成されました。できるだけ、簡単でわかりやすい言葉で記述しています。データの解釈や内容表現に誤りがあれば、コメント欄にてご指摘ください。また、弊社HPやTwitterにてさまざまな発達特性情報を発信していますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください。