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成年後見制度(後半)

こんにちは。ライデックの齊藤です。ジメジメした天気が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。体も疲れやすくなりますので、体調管理そしてコロナ対策、引き続き意識していきたですね。今日は前回のブログ記事の続きになります。よろしければ前回の内容もご覧下さい。

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少しおさらいですが、法定後見には判断能力に応じて、

①後見(判断能力が無い) ②保佐(判断能力が著しく不十分) ③補助(判断能力が不十分)の3つの類型(制度)に分かれます。

今日はこれらを利用する場合の流れについて、そして後見人等になった場合の仕事について簡単に触れたいと思います。

 

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①法定後見の申立てをする

法定後見を利用するには、その旨を家庭裁判所に申立てします。申立て先は、本人の住所地の家庭裁判所です。(申立ての前に制度利用についての相談をされてもいいかと思います。家庭裁判所や役所窓口(高齢者福祉課等)、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどがありますので、そこで情報収集やアドバイスをもらいましょう。)

<誰が申立てをするの?>

申立てができるのは、本人・配偶者・4親等内の親族です。独り身などで対象者が誰もいない時は市長申立てをお願いします。後見・保佐・補助のどの類型で申立てをするのか事前に決めますが、後見人の候補者についても(申立てする人も含めて)特定の人物を推薦することもできます。裁判所が指定する必要書類をすべて揃えたら申立てをします。

留意点;本人の財産状況によっては、申立てを担う人が費用負担をする場合も考えられます。実際に誰が申立てをするのか、手続き等の費用負担はどうするのか、事前に決めておいた方がいいかもしれません。 

<費用はどのくらいかかる?>

裁判所に払う費用は10,000円程度ですが(印紙代や切手代など)、その他にも別途、戸籍謄本や診断書等も必要となります。もし裁判所から、医師による鑑定を求められた場合は、そこでも別途費用がかかります。(鑑定料は一律ではありませんが、ほとんどの場合で10万円以下のようです。)

        

②家庭裁判所による調査や鑑定、そして審判

必要書類を揃え成年後見の申立てをしますと、裁判所による調査や面談(本人や家族、関係者への聞き取り調査)等が行われます。また本人の判断能力について鑑定を行うこともあります。

※鑑定・・本人の精神状態や判断能力を確認するために、家庭裁判所が医師に鑑定を依頼する場合があります。後見と保佐の申立てについては、原則として鑑定手続きが必要であると定められていますが、明らかに鑑定の必要がないと判断された場合は行われないこともあります。

鑑定の結果によっては、申立てと異なる類型の判断となる場合もありますが(もしくは類型の変更を勧められたり)、こういった場合は申立書を訂正すれば問題ありません。

 成年後見人候補者についても家庭裁判所による調査が行われます。候補者の職業や経歴、本人との利害関係の有無、その他一切の事情を考慮して選任を行います。本人の親族以外に、弁護士や司法書士、社会福祉士等の第三者が選任されることもあります。(希望に沿わない人が選任された場合、それを理由に裁判所に不服申立てをすることはできません。)

 

③後見人等が選任される

審判で後見人等として選任されたら、東京法務局で成年後見登記をします。(後見登記制度)これは、被後見人等・後見人等が誰であるかの証明書であり、後見人等としての権限や後見に関する内容、住所氏名等が正式に登録・開示されます。

逆を言えば、後見登記をしていないと「自分が後見人である」という証明できないため、本人に代わって契約行為することができない、本人が誤って締結してしまった契約行為を取り消すことができない等々、といったことになってしまいます。(これは後見人であった場合のケースです。補助人・保佐人であれば、もともと付与されている権限が違ってくるため、介入できる範囲も代わってきます。)

    

         後見人・保佐人・補助人の持つ権限 

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④後見人等の仕事がスタート

<後見人等の最初の仕事;財産目録の作成と年間収支予定表を作成する>財産管理の代理権が付与された保佐人・補助人も同様です)

成年後見人等に選任されたら1ヶ月以内に、家庭裁判所にこれらを提出しなければいけません。

財産目録・・財産の状態を記録したもの。(不動産や有価証券、保険契約、負債など)家庭裁判所は後見人等による財産の使い込みを防ぐために財産の状況を確認しておく必要があります。

年間収支予定表・・毎月の生活費や納税額、年金収入等、年間の収入の記載と年間の支出の見込額を記載して家庭裁判所に提出します。

<日々の生活の仕事>(一例として)預貯金や現金などの本人の資産管理、納税や年金の受け取り、収入や支出の記録を残しお金の動きを把握します。また本人の状態や生活状況に変わりがないかチェックします。

<必要に応じた仕事>(一例として)医療関係の手続き、施設への入所関係の手続き、介護が必要になった時の手続き、資産売却や遺産分割など。

<定期的な仕事> 家庭裁判所への報告は初回のみでなく、定期的な報告と必要書類の提出が求められます。

 

上記に挙げた仕事はほんの一例に過ぎません。ネットで調べるだけでも想像以上に多岐に渡る仕事があることがわかります。成年後見制度は判断能力が不十分な方の権利を擁護し、本人の保護と支援をするための重要な制度になるため、後見人等としての仕事はとても重要でその役目も長く続きます。

 

まとめ

 厚労省は平成28年に成年後見制度利用促進基本計画を施行しているのですが、「成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施状況(令和3年3月)P18 」を見てみると、①利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善、②権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり、③不正防止の徹底と利用しやすさの調和、④基本計画に盛り込まれているその他の施策、といった今後の対応(課題)が挙げられていました。

www.mhlw.go.jp 

成年後見制度は上手く機能すれば、本人(やその関係者)にとっては安心できる制度ですが、運用面にはまだ課題がありますね。

 

それではまた。

 

 

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