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教育制度について(カナダ編)


カナダの教育制度

f:id:RIDC_JP:20211121165457j:plainカナダの教育制度に関しては主にこちらのサイトに即して紹介しますね。

 

www.angloinfo.com

特別支援が必要な子どもに対してインクルーシブなアプローチを行っています。すべての支援が必要な子ども(情動・行動・視覚・知的・言語・聴覚障害)は無料で公立の教育を受ける権利があります。国として支援をするとしていますが、基本的資金の大半は州や地方レベルで割り当てられています。

法律によってカナダのすべての州の学校は特別支援プログラムを持っています。しかし、すべての学校でプログラムを受けることが可能ではなく、保護者は私立の特別支援学校に入学させざるを得ない場合もあります。州や地域によって、子どもたちが私立の特別支援学校に通うための資金を100%提供しているところもあり地域差が大きいかもしれません。

カナダでの特別支援学校は身体的・精神的・行動的・コミュニケーション障害、またはギフテッドの子どものための学校です。特別支援が必要であると登録する場合、プロセスは州の規制と方針によるが似ているところも多いです。多くの州や自治体はEducation Actという特別支援の教育法があり、教育委員会では通常、特別支援を必要とする子どもたちが普通校の中で行えるプログラムと個別の教育プログラムを提供しています。そのため、登録の際には子どもの特別支援の必要性について、教育委員会に伝える必要があります。スタッフ(教員)は特別支援教育のトレーニングを受けています。受け入れる学校は、関連する教育当局に直接子どものための資金を申請します。

自閉症についての支援は最近になって少しずつ国から予算が下りて、教師にASDに関する教育を行ったり、資金提供を始めたり、授業後の特別プログラムの提供を行ったりしています。

 

①オンタリオ州
オンタリオでは多額の支援を受けることが可能です。例えば「重度障害支援プログラム」では、医療費、衣類、薬代、子どもに必要な器具などの支援として月に最大470ドル(42000円程度)が支給されます。(金額は親の収入と障害の種類によって異なる)リハビリアシスタントや休息ケア(respite care)や自宅での特別支援を提供するプログラムや、自閉症などの特殊な障害に対応するプログラムも用意されています。

 

②ブリティッシュコロンビア州
子どもと家族の発達省(MCFD: Ministry of Children and Family Development)がプログラムとサービスの提供しています。家族支援としてレスパイトサービス、親の支援、児童・青少年ワーカーアシスタント、行動支援プログラム、リハビリサービスや早期介入計画等があります。59,000人の子どもが現在ブリティッシュコロンビア州の公立学校に在籍しています。クラスアシスタントがつき、プログラムの提供、IEPsの提供。特別支援が必要な子どもが特別支援学校に通うための学費を100%援助するようなファンディングも存在しています。


③アルバータ州
小学校、中学校、高等学校等において、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う指導形態です。
【対象障害種】言語障害者、自閉症者、情緒障害、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者

 

④ノヴァスコシア州
Supported Child Care for Children with Special Needsプログラムが提供されています。フルまたはパートタイムでの保育園での特別ケア・プログラムを受けるための資金提供が含まれており、EIP (Early Intervention Programme)でのサポートも行っています。個別支援計画(IPP)を提供、必要な場合は特別支援学校(私立)へ通う機会も提供されます。

 

⑤ケベック州

普通学校の中でIEP(個別教育計画)を受けることができます。IEPを受けるためには、親と生徒が教師、校長、ガイダンスカウンセラーと面接を行います。障害がある子どもは21歳まで学校に在籍することが可能です。

Inclusive Education Canada (IEC)

https://inclusioncanada.ca/campaign/inclusive-education/

 

ケベック週の特殊な制度についてはここに詳しく出ています。

STAR Education Advisors

ケベック州の特殊教育

プリスクール(幼稚園:4歳から):1-2年
プライマリー(小学校):6年
セカンダリー(中・高等学校):5年
カレッジ(CEGEP):2-3年
学位:3-4年
修士:2年
博士:3年+

CEGEP

大学に入学するためにはカレッジ過程修了証明書(DEC)を取得する必要があります。大学進学準備教育コース(2年)・技術教育コース(3年)。CEGEPの進学率は77%。義務教育であるプライマリー・セカンダリーと大学教育の中間に位置し、ケベック州住民に対して原則CEGEP就学は無償です。

しかし、高等教育の水準の向上に貢献すると同時に、教育システムの不公平さ・非効率さが指摘されています。

 

そのあたり、下記のサイトで批判的に論じられています。

monitormag.ca


一部背景を述べると、近年、私立校が増えたことにより、公立の学校では様々な分野に力を入れて「私立のような教育」が受けられる「公立選抜校」が増えていると。

通常の公立学校では、より多くの支援を必要とする生徒が過剰に存在していて、学校の資金・資源不足により、補助金を受けることのできる私立校や選抜公立校に行きたい人が増えています。それにより、義務教育の提供が階層化されはじめ、恵まれた人ほど優遇される傾向にあるといった不平等な扱いに繋がっているとのことです。

カナダの他の州にくらべて、ケベックの社会プログラムは手厚いと考えられていますが、地域による子どもの学業成績の差は他の州と比べて顕著に大きくなっており、最高の学習環境を必要とする人たちがその恩恵を受けられず、経済格差を背景とした学習格差が広がっている傾向にあるようです。

詳しいことは上記リンク先をご参照に。

 

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これは感想(代表)ですが、カナダの学校教育、とても自由な雰囲気で特性があっても過ごしやすいんだ、という声を時々聞くことがあり、良いのだろうなあと思っていました。体験した人がそう言っているので良い部分沢山あるのだと思いますが、一方でケベック州の独自な教育制度も同州出身の方に伺ったことがあります。中身はともかく、中高が5年だったりその後のカレッジがあるとかで、その方はカレッジ2年生のときにアメリカに移住したのですが学年が対応していないので手続きが煩雑だったと嘆いていました。

方法論として良いものが、実地では理想とずれていくことはよくあることですが、ケベック州の教育制度に関してはそういった側面が出てきているのかと思いました。

次は北欧からデンマーク編です。

 

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