初めまして、ライデックに昨年から勤め始めました心理士のの村田です。
みなさんは、友人の話を聞いていて「オーバーだなぁ」と思ったり、「そんなに感情的にならなくても…」と思ったりしたことはありませんか?
もしかしたら、その人は意図して大げさに話しているわけではなく、話しているうちに気が大きくなってしまったり、その人の記憶が知らず知らずのうちに変わっていったためかもしれません。
今回は、そんな記憶のあやふやさについて、エリザベス・ロフタス氏のお話を紹介したいと思います。
言葉と記憶の関係
さて、最近は寒い日が続きますが、皆さんは「寒い日」と「すごく寒い日」では、寒さのイメージが違うのではないでしょうか?私の場合こんなかんじでしょうか。
寒い
すごく寒い
私は会話をしている時に「寒い日」と「すごく寒い日」のどちらを使うかを自然に選んでいるのですが、みなさんはいかがでしょうか?
ところで、意図的に言葉を使いわけることで、相手の印象や記憶に影響を与えることはできるものでしょうか?
ロフタス氏は模擬の事故映像を見せた後に、
あるグループには「車がぶつかった速度はどれくらいでしたか?」と質問し、
違うグループには「車が激突したときの速度はどれくらいでしたか?」と質問しました。
すると、「車がぶつかった速度はどれくらいでしたか?」と質問されたグループの人は平均して時速54kmと答え、
一方、「車が激突したときの速度はどれくらいでしたか?」と質問されたグループの人は平均して時速66kmと答えました。
また、映像ではガラスが割れていないのにも関わらず、
「車がぶつかった速度はどれくらいでしたか?」と質問されたグループの人の約14%の人が、ガラスが割れていたと答え、
「車が激突したとき速度はどれくらいでしたか?」と質問されたグループの人の約32%の人が、ガラスが割れていたと答えました。
違う実験では、一時停止の標識がある交差点を突っ切る模擬事故を見せた後に、徐行の標識があったことをほのめかす質問をすると、多くの人は交差点にあったのは徐行の標識で、一時停止の標識ではなかったと答えました。
このような実験を通して、ロフタス氏は経験した事実について誤った情報を与えると、他人の記憶を変えてしまうことが可能であると話しています。
印象だけでなく、記憶にまで影響がでるなんて驚きですが、
ロフタス氏は、さらに、記憶を植え付ける実験もしていて、参加者の約25%に子どもの頃に迷子になったとの記憶を植え付けることができたことを示しています。
まとめ
まとめると、使っている言葉や与えられる情報によって、私たちの記憶や印象は大分変わるといえるでしょう。
確かに、意図的に記憶が植え付けられることはまずないと思います。
ただ、私自身を振り返ると、曖昧な記憶について話している時に「〇〇していたじゃない」って言われると、そうかな?言われてみればそうだったかも??と思い、気づけば正しいかを判断する記憶がないのに、言われたことを正しいこととして記憶して、疑問を持つこともないことがあります。
また、例えば、本当は少しだけ不快だなと思ったことを友人に話す時に、話を盛って「イラっとした」とか強い言葉で話していると、本当にイライラしてくることがあったりします。みなさんはいかがでしょうか?
そう考えると、使っている言葉のために勘違いや記憶違いをしていたり、余計に不安になったりイライラしているとも考えられますね。
ですので、気持ちが不安定になっているなと感じたら、勘違いをしていないかを確認するために人の意見を聴いたり、使っている言葉が強くなっていないかをチェックしてみてはいかがでしょうか?
今回利用した資料等は以下になります。
The Formation of False Memories
邦訳された書籍もあります。
それではまた。
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