RIDC_JPのブログ

最新の医学研究情報を「正しく」かつ「わかりやすく」伝えるためのブログ

株式会社ライデック(発達特性研究所)の公式ブログ

締め切りに遅れる人はどう見られる?

みなさん
こんにちは
ライデックの村田です。

みなさんは締め切りのある作業と言えば、どんなものをイメージしますか?
例えば、
宿題やレポートの提出、
いつまでにお願いと言われた家事、
いついつまでに返信をお願いと言われた友人からのメールへの返信などなど、
色々とあると思います。

ところで、
皆さんは、期日までに対応することが多いですか?それとも、気づいたら期日を過ぎていることが多いですか?
私は期日までに対応するようにしてはいますが、申し訳ないことに、たまに過ぎてしまうこともあります。
そんな時、「マイナス評価をされたかな?」とは思うのですが、「内容は問題ないので、その点については信頼されているだろう」と思うのですが・・・実際はどうなのでしょうか?
個人的には気になりますが、みなさんはどうでしょうか?

今回ご紹介するのは、
締め切りを守れないことは、その人とその人の作業内容の評価に、どのように影響するかについて研究した論文になります。

linkinghub.elsevier.com

提出期限に遅れるほど、評価が悪くなるわけではない?

さて、この研究、まずは提出物の遅れが、提出物のクオリティやその人物の評価にどのように影響するかについて調べました。

方法は次の通りです。
研究参加者は、金融コンサルティング会社のマネージャー役となり、金融グラフについてまとめたレポートのクオリティや、そのレポートを作成した人などについて評価してもらいました。

具体的には以下の4点です。

  • レポートのクオリティ
  • レポートを作成した人の能力
  • レポートを作成した人の誠実さ
  • 将来、その人に仕事を頼みたいと思うか?

ただし、参加者はレポートを受け取る時に、提出された時期についても伝えられました。

具体的には以下の7つです。

  • 締め切り日より1日早い提出
  • 締め切り当日の午前中に提出(=時間通り)
  • 1時間遅れ
  • 6時間遅れ
  • 12時間遅れ
  • 1日遅れ
  • 1週間遅れ

その結果、レポートのクオリティ、作成した人の能力、誠実さ、今後の仕事の可能性のいずれにおいても

  • 提出期限を守った人と守れなかった人には大きな差があり、期限を守った人の方が、すべての項目において、高いあるいはポジティブな評価をされました
  • 1日遅れて提出した人と、1週間遅れて提出した人を比べると、すべての項目において、明らかな差は認められませんでした。
  • 1日早く提出した人と、時間通りに提出した人を比べると、すべての項目において、明らかな差は認められませんでした。

次に、研究者達は本物の金融コンサルティング会社のマネージャーに協力を求め、提出期限の情報を、「締め切り日より1日早い提出」「締め切り当日の午前中に提出(=時間通り)」「1日遅れ」「1週間遅れ」の4つにした上で、同じ研究をしました。すると、まったく同じ結果が示されました。

つまり、まとめると次のようになります。

  • 「どのくらい遅れたか」よりも「遅れたかどうか」が重視される
  • 提出が遅いほど、その人の能力や、レポートのクオリティがより低く評価されるわけではない
  • 提出が早いほど、その人の能力や、レポートのクオリティがより高く評価されるわけではない

なるほど。提出期限が守れるかどうかが、大きな分かれ目になっているようですね。
個人的には、この結果をみると、無理をして早く提出する必要はなさそうに感じます。
とはいえ、やはり締め切りを過ぎてしまうと、評価に影響するようですね。
これは仕方のない話だなとは思うのですが、遅れそうな時には、事前に遅れることを伝えることが一般的かなと思います。
そうやって、遅れることを伝えた場合はどうなるのでしょうか?遅れても多少は許してもらえるのでしょうか?
この点について、研究者たちは以下の方法で検討しました。

遅れることを事前に伝えることで、遅れは許される?

研究者たちは、参加者に金融コンサルティング会社のマネージャー役になってもらい、先ほどと同じく以下の4点を評価してもらいました。

  • レポートのクオリティ
  • レポートを作成した人の能力
  • レポートを作成した人の誠実さ
  • 将来、その人に仕事を頼みたいと思うか?

ただし、今度は、提出された時期や条件について、以下のように伝えました。

  • 期限通りに提出
  • 遅れて提出(事前の通知なし)
  • 遅れて提出(事前の通知あり、延長要求なし)
  • 遅れて提出(事前の通知あり、延長要求あり)

すると、レポートのクオリティ、作成した人の能力、誠実さ、今後の仕事の可能性のいずれにおいても以下の結果が示されました。

  • 期限通りに提出した人は、いずれの項目も高く評価されました
  • 遅れて提出した人達は、期限通りに提出した人よりも、すべての項目において低く評価されました
  • 遅れて提出した人達は、どの条件であっても、すべての項目において評価に差が示されませんでした

そこで、たまたま遅れてしまった場合はどうなの?との視点について、
実際に部下を持つマネージャーに参加してもらい、評価項目は変えず、
過去に期限通りに2つの書類を提出した人に、3つ目の書類提出を求めるとの場面で、以下の2つの条件で検討しました。

  • 期限通りに提出
  • 一日遅れて提出

その結果、
期限通りに提出した人は、遅れて提出する人よりも、すべての項目において高く評価されました。

まとめると

  • 遅れることを伝えたとしても、期限内の提出が間に合わないと提出物のクオリティ、その人の能力や誠実さ、信頼感に関する評価が下がる
  • これまで提出期限を守っていたとしても、提出期限に間に合わないと提出物のクオリティ、その人の能力や誠実さ、信頼感に関する評価が下がる

つまり、事前に遅れることを伝えていたとしても、期限に間に合わないと、評価が下がることは免れないようですね。
それにしても、これまでは期限を守っていたとしても、一度の遅れで評価が下がるのは、個人的には厳しいなと思いましたが、皆さんはどう思いますか?
とはいえ、自然災害など自分ではどうしようもないことが原因であっても、評価は下がってしまうのでしょうか?
また、仕事の中でも重要な案件や、友人との大切な約束の期日を守れずに評価が下がるのは仕方ないと思うのですが、大して重要でもないちょっとした要件でも評価が下がるのは厳しいなと思うのですが、どうでしょうか?
研究者たちは、この2点についても検討しています。

評価は要件の重要度に左右されるのか?

参加者に広告会社のマネージャーとして振る舞ってもらい、以下の人たちの能力と提出した物のクオリティについて評価してもらいました。

  • 重要案件の提出が期限通りだった人
  • 重要案件の提出が期限に間に合わなかった人
  • 重要でない案件の提出が期限通りだった人
  • 重要でない案件の提出に間に合わなかった人

ちなみに、重要案件は重要なクライアント向けの案件、重要でない案件は練習用の課題になります。
その結果、以下のことが認められました。

  • 重要案件の提出が期限に間に合わなかった人は能力が低いと評価され、そのような人が作成した物だからとの理由で、提出物のクオリティも低いとみなされました
  • 重要でない案件の提出が期限に間に合わなかった人は、間に合った人に比べ、能力が低いと評価されますが、提出物のクオリティについては、締め切りに間に合った人と変わらず、評価が下がることはありませんでした
  • 提出期限に間に合う、間に合わないに関わらず、重要でない案件の方が、重要な何件よりもクオリティが高いと評価されました

そこで今度は、参加者に広告会社のマネージャーとして振る舞ってもらい、重要な案件を担当した以下の人たちの能力と提出した物のクオリティについて評価してもらいました。

  • 期限に間に合わせて提出した人
  • 理由なく一日遅れて提出した人
  • 個人的な理由で一日遅れて提出(例えば、課題を忘れていた等)した人
  • 仕方のない理由で一日遅れて提出(例えば、陪審員の出廷義務に参加ていた等)した人

その結果、以下が示されました

  • 理由なく一日遅れて提出した人や、個人的な理由で遅れた人の能力と、そのクオリティは、期限に間に合った人と、仕方のない理由で遅れてしまった人よりも低く評価されました
  • 期限に間に合った人や、仕方のない理由で遅れてしまった人の能力と、そのクオリティは、同等と評価されました

また、研究者たちは、この結果を通して、個人的な理由で遅れてしまう場合には、計画立ててものごとをこなすことができない能力が低い人と、その人をみなすため、そのクオリティも低いと思うのに対し、仕方のない理由で遅れてしまう場合は、その遅れに対して寛容となるためではないかと考えています。またそのため、仕方のない理由で遅れてしまう場合、そのことを相手に伝えることを勧めています。とはいえ、重要なことは、“可能な限り締め切りは守ること”と、“重要性の高く、締め切りが設定されているものほど、優先して取り掛かること”とも示しています。

さて、ここまではあくまでも仮想の話でしたが、実際のところはどうなのでしょう?

仮説は現実場面でも通用するのか?

研究者たちは、これまでの仮説を検討するために、次のような方法をとりました。

参加者に起業家イノベーションコンペティションの審査員を務めてもらい、以下について評価してもらいました。

  • 応募された製品のクオリティ
  • 応募者の能力
  • 応募された製品の市場での成功可能性
  • 提出期限を守ることの重要性

また、参加者には次の情報も伝えられました。

  • 優勝者には25000ドルの賞金が与えられること
  • 提出期限は2日後あるいは3日後であること
  • 提出期限に間に合った製品は期限後2時間以内に、間に合わなかった製品は期限日の翌日に手元に届くこと
  • 期限に間に合ったか、間に合わなかったかは、製品が手元に届く前日につたえられること
    なお、すべての参加者が審査した製品は同じものでした。

つまり、こんなイメージです。
2日後に審査をお願いされる参加者の場合。
例えば、
Aさんには「2日後に審査をお願いします」と伝え、翌日に、期限に間に合ったので締め切りの2時間後には審査が開始できることを伝えます。
Bさんには「2日後に審査をお願いします」と伝え、2日後に、間に合わなかったので審査開始は明日になることを伝えます。
ただし、AさんとBさんが審査した製品は同じものでした。

その結果、

  • 期限に間に合った製品のクオリティは、間に合わなかったものよりも高く評価されました
  • 期限に間に合った応募者の能力は、間に合わなかった応募者よりも高いと認識されました
  • 期限に間に合った製品は、間に合わなかった製品よりも、市場で成功する可能性が高いと評価されました
  • 応募者の能力が低いと認識されると、製品のクオリティも低いと評価されることが示されました

つまり、現実場面でもこれまでの仮説通りのことが起こることを示しています。

最後に、研究者たちは、“欧米圏以外でも同じことが起こるのか?”との点について検討しています。

欧米圏以外でも同じことがおこるのか?

研究者たちは次の方法で検討しました。
東アジアの高校で行われた生徒同士がお互いの作品を評価するアートコンペティションに参加した学生に、お互いの作品のクオリティについて評価してもらいました。
ただし、各作品には、作品が提出期限に間に合ったか、間に合わなかったかの情報について示されていました。
また、学生は、提出期限の情報は無視して評価するように指示されました。

その結果、
提出期限に間に合わなかった作品のクオリティは低く評価されることが示されました。

この結果をもとに、研究者たちは、欧米圏だけではなく、東アジア圏でも同じことがおこるとしています。

まとめ

さて、長い論文でしたがいかがでしたでしょうか。
最後にこの研究のポイントをまとめると、次にようになります。

  • 提出期限に間に合わないと、その人の能力や提出物の評価が下がる
  • 提出期限に間に合わないことを事前に伝えても、評価は下がる
  • ただし、自分ではどうしようもないような、仕方のない理由があれば、提出期限に間に合わなくても評価は下がらない

この結果を踏まえると、
何かのチェックをお願いされた際には、提出期限に間に合ったか、間に合わなかったかの情報については、あえて教えてもらわない方が、適切に評価することができるということにもつながりそうですね。
また、個人的には、自分ではどうしようもない理由で提出期限を遅れてしまった場合は、許してもらえるらしいことが示されていて少しほっとしましたが、みなさんはいかがでしょうか?
とはいえ、締め切りを守れるよう、できる範囲で計画的に取り組んだよさそうですね(それがすんなりできれば苦労はないのですが・・・)。

それでは、また。

 ***************************************

ライデックでは、ブログ以外でも様々な発達障害の情報を発信しています。気になる方は、公式HP公式Twitterをチェックしてみてください。

 

⇢お気に入り登録、いいね等応援よろしくお願いいたします!

⇢また、読者のみなさまから紹介してほしい発達障害の話題や記事に対するコメントもお待ちしています!

 ***************************************

 発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)

本記事は株式会社ライデックによって作成されました。できるだけ、簡単でわかりやすい言葉で記述しています。データの解釈や内容表現に誤りがあれば、コメント欄にてご指摘ください。また、弊社HPTwitterにてさまざまな発達特性情報を発信していますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください。

自分を知り、自分をかえていく