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メンタルヘルスアプリって効果があるの?

 


みなさん
こんにちは

みなさんは悩みや相談をしたいとき、誰に相談をしますか?
友人、家族、パートナーに相談をする人もいれば、AIに相談をする方もいるかと思います。
ところで、最近ではAIの発展もあり、メンタルヘルスに関するアプリも増えていますが、みなさんはご存じでしょうか?
個人的には、例えば、外出が難しい方もいるので、使い方次第では、有用なツールになるだろうなぁ思っています。
一方で、「実際のところ、どのくらい効果があるのだろう?」とも思います。

そこで今回は、メンタルヘルスアプリの効果につい検討した論文についてみていこうと思います。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/wps.21183

 

pmc.ncbi.nlm.nih.gov

方法

研究者たちは、ランダム化比較試験(RCT)と呼ばれる研究方法で実施された176件の論文をまとめて分析し、その効果を調べています。
RCTとは、参加者を無作為に「アプリを使う群」と「使わない群」に分け、その結果を比べる研究方法です。こうすることで、思い込みの影響などをできるだけ減らし、治療や介入そのものの効果を公平に比べることができる方法です。
今回の場合は、何もしなくても時間の経過とともに良くなる人もいますので、アプリを使った場合に、そうした自然な変化よりも高い効果があるかどうかを確かめるとの目的で用いられたところもあります。
ちなみに、対象のアプリは“うつ症状を主な対象としたアプリ”“全般性不安症状(以下は不安症状とします)を主な対象としたアプリ”“うつ症状と不安症状の両方を対象としたアプリ”の3つが含まれていました。
また、参加者についても、多くの研究をまとめていますので、症状のない人から、診断を受けている人(全体の約6%)まで、幅広い人たちが含まれています。

結果

うつ症状と不安症状のどちらも改善効果は小さくはありますが、アプリを使わない場合に比べて、使った方が改善しやすいことが示されました。小さい効果とはどのくらいかと言うと、研究では、効果の大きさをg(Hedges' g)という数値で表しており、目安でいうと0.2前後が「小さい」、0.5前後が「中程度」、0.8以上が「大きい」とされていて、今回は、うつがg=0.28、不安がg=0.26と示されていました。また、「何人がアプリを使えば、使わなかった場合と比べて1人多く改善するか」との視点でいうと、うつでは11.5人、不安では12.4人という結果でした。つまり、約11〜12人がアプリを使うと、そのうち1人がアプリを使わなかった人よりも改善しやすいということになります。

アプリの効果の安定性について見ると、
効果が見られた人もいれば、そうでない人もいて、効果が安定しているとは言い難いことが示されました。
とはいえ、アプリを使わなかった人に比べると、アプリを使った人の方が効果はやや安定している傾向が示されました。

さて、それでは、どのようなアプリが、効果が示されやすいかというと、
うつ症状に対しては、認知行動療法をベースに開発されたアプリの中でも、チャットボット機能が搭載されているアプリの方が、より大きな改善傾向が示されました。
不安症状については、認知行動療法をベースに開発されたアプリの中でも、気分を記録したり、確認したりする機能があるアプリの方が、より大きな改善傾向が示されました。
これは、認知行動療法は長年にわたって研究が積み重ねられているため、うつや不安に対して、具体的にどの技法が効くのかが、ある程度明らかになっているためであろうと、研究者たちは示唆しています。つまり、効果が確認されている要素を優先してアプリに組み込んでいるため、結果として効果が大きくなりやすい可能性が考えられるということのようです。
ちなみに、チャットボット機能や気分を記録する機能があるアプリが効果的である理由として、これらの機能がよりその人に合った対応を可能にしたり、自分の感情への気づきを高めるために、モチベーションの維持につながり、継続もしやすいためではないかと示唆されています。ただし、この点については研究数がまだ少ないため、今後さらなる検証が必要のようです。
ただし、マインドフルネスのアプリや、頭の中で繰り返される不安を直接扱わない認知トレーニングのアプリは、それらのアプリに比べると効果が小さい傾向が示されました。

また、アプリの種類だけでなく、誰と比べるかによっても、効果の大きさが変わることが示されました。
たとえば、これまで何も利用していなかった人が治療的なアプリを使う場合と、これまで治療的でない(プラゼボ)アプリを使っていた人が治療的なアプリを使う場合を比べると、プラセボアプリを利用していた人の方が、効果は小さくなる傾向が示されました。このような結果が示された理由は、デジタルプラセボ効果によるものではないかと示唆しています。プラセボ効果とは、一般的に、治療効果がないものであっても、改善するはずとの期待感をもって使うと改善が示される現象です。つまり、専門的なアプリでなかったとしても、アプリを使うことでの改善への期待感が、一定の改善をもたらしていたために、治療的なアプリを使い始めた時点で、すでにある程度改善していたのでは?と示唆しています。
さらに、アプリ使用前に、うつや不安の症状がある程度あると確認された方のほうが、症状の有無を問わない一般の方と比べて、効果が出やすい傾向も示されました。

この研究は、高所恐怖、社会不安症、強迫症、PTSD、パニック症に対する効果も検討しているのですが、高所恐怖に対する効果は大きく、社会不安症と強迫症は中程度、PTSDは小さく、パニック症は効果が示されませんでした。ただし、研究者たちは、研究数が少ないため、これらの結果は慎重に扱うべきと述べていますので、目安程度に用いるのがよいのだろうと思います。

では、対面のカウンセリングと比べると、その効果のほどは?との点については、
うつ症状も不安症状も、アプリと対面のカウンセリングの間に明らかな効果の差はないことが認められました。
また、うつ症状については、ウェブの心理プログラムとアプリを比べても、その効果に明らかな差がないことが認められました。
ただし、これらの結果についても、研究者たちは研究数が少なすぎるので、結論を出すのは早すぎるとしています。
ちなみに、この論文では、対面のカウンセリングについての詳細が示されていないので、どの心理療法と比べているのかは不明です。

さて、ここまでくると、アプリはなかなかよさそうな感じがするのですが、いくつかの限界点もあります。まず、4人に1人がアプリのプログラムを途中でやめてしまうことも認められ、継続性に課題があることも示されています。次に、ほとんどの研究がアプリプログラム終了後の効果を確認していないため、アプリの効果が長期的に続くかは、わかっていません。また、症状の改善効果は示されましたが、すっかりよくなるかについては、こちらも、データが少ないため分からないようです。加えて、研究間で効果のばらつきが多いので、どのような条件がアプリの効果に影響するのか、まだ十分には解明されていないようです。

以上がこの論文が示しているところです。
いかがでしたでしょうか。

ところで、国内にも、今回の論文で効果が示されやすいとされた特徴を持つアプリがあるようです。一例としてあげると、国立精神・神経医療研究センターが開発したKOKOROBOがあります。このアプリは、AIを活用したチャットボットによる認知行動変容アプローチを備えていて、今回の論文で効果が示されやすいとされた“CBTベース+チャットボット機能”という特徴を備えたアプリの一例といえそうです。また、このアプリは、症状の重症度により、必要に応じてオンライン相談といった専門家への橋渡しも行う仕組みも備えているようです(久我弘典, 認知療法研究, 第19巻1号, 2026年, pp.36-37)。確かに、自分が医療機関を利用すべき状態なのか、アプリのみで大丈夫な状態なのかって分からないですよね。そういう視点で言うと、医療機関を利用すべきなのかどうかを教えてくれるので、新しいなと思います。
このアプリの詳細については以下のリンクからご確認ください。

ncnp.mentalhealth-platform.jp

 

個人的には、対面のカウンセリングとアプリの効果が同等という点については「そうなのかなぁ?」と思うところではありますが、その結果も含めて、論文でも述べられている通り、まだまだ発展途中なので慎重な判断が求められるところや、今後に期待するところが多い分野かなと思います。
とはいえ、例えば、カウンセリングを試しにあるいは気軽に利用してみたい人、身近にカウンセリングを受けられる施設がない人、人目が気になる人に対しては、一つの選択肢になるツールなのだろうなと思いました。
また、対面のカウンセリングと併せて使うのであれば、どんな使い方が良いのかなとも思いました。
みなさんが使うとしたらどんなアプリを選びますか?あるいは、どのような使い方をしますか?色々なアプリがありますが、今回のブログが、ご自身に合うアプリを選ぶ際の、一つの目安になれば幸いです。

それでは、また

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