前回このテーマを取り上げたのは2021年2月、新型コロナ第3波の最中でした。あれから5年、世の中の関心はすっかり別の方へ移りましたが、ADHD診療の現場に変化も見られます。
2026年の現時点で、私たち処方医が直面している話題は主に3つ。
①コンサータ錠の供給不足(2025年秋から継続)、②ストラテラ先発品の新規製造停止(2024年9月、N-ニトロソアトモキセチン混入問題)、そして ③2026年4月の薬価改定。当事者・ご家族の経済的負担にも直結する話ですので、今回は「2026年版」としてアップデートをお届けします。
日本で使える抗ADHD薬(2026年4月時点)
承認されているのは従来通り以下の4剤です。新作用機序薬として注目されていたセンタナファジン(大塚製薬)は、2026年1月にFDAが新薬承認申請を受理・優先審査指定をしたばかりで、日本での承認はまだ先になります。
また、2025年2月には塩野義製薬のデジタル治療用アプリ「エンデバーライド®」が小児ADHDの治療補助として承認されました。薬ではありませんが、選択肢のひとつとして頭の片隅においておきましょう。どう使うんだろうと思っていましたが、考えてみれば医療公認のゲームがあればデジタル使用機器を巡る親子の争いも少し緩和されるかな⋯今度改めて考えてみます。
さて、本題の抗ADHD薬です。

2021年からの変化
前回(2021年版)との比較で最も大きく動いたのはコンサータです。
コンサータ 18mg:344.1円 → 232.0円(約33%減)
コンサータ 27mg:381.2円 → 257.7円(約32%減)
コンサータ 36mg:410.1円 → 270.2円(約34%減)
5年で3割以上下がりました。ジェネリックのない先発品としては異例の下落です。一方、ビバンセ・インチュニブも小幅に下がり続けていますが、元の価格帯が高いため体感はあまり変わりません。
年間の自己負担ざっくり試算(3割負担・1日1回連日服用)
表で赤字にしている頻用量で試算してみます。
コンサータ27mg 1錠:約28,200円/年
ストラテラ先発 40mg 2カプセル:約30,700円/年
アトモキセチンGE 40mg 2カプセル:約12,100円/年
インチュニブ3mg 1錠:約56,500円/年
ビバンセ30mg 1錠:約80,100円/年
ビバンセの価格が突出しているのは2021年と変わらずですが、18歳未満にしか使用開始が認められておらず、かつ現在多くの自治体で18歳未満の方には大きな医療扶助がありますので、事実上の負担感は無いでしょう。18歳超えて使う際には自立支援を受ける必要がありそうな価格ではあります。
一方、アトモキセチン後発品はいよいよ各社出揃い、先発ストラテラの4割前後まで下がりました。先発品の新規製造が停止している現在、選択肢として存在感は大きいですね。
コンサータ供給不足について
ご存じの方も多いと思いますが、コンサータは2025年9月下旬から出荷調整が続いています。ヤンセンファーマからの説明では、主因は「患者数増に対する供給不足」。
2026年初頭以降、段階的に回復の見込みとされていますが、私の外来でも処方スケジュールの調整が必要な場面が続いています。
この間、ADHD適正流通管理システム(旧コンサータ登録システム)の運用も一部変更されています。処方医・調剤薬局側の登録要件が厳格化しており、新規で処方開始できる施設は限定的です。転院・転居のご予定がある方は、早めに主治医と相談しましょう。
結びに代えて
薬価は医療費の可視化そのものです。
「同じ効き目なら安いほう」が正解ではないのが抗ADHD薬です。
徐放製剤の効果の立ち上がり方、飲み忘れた時のリカバー、本人の生活スタイルとの相性によって最適解は変わります。自立支援医療(精神通院医療)はじめ、自己負担を軽減する制度は引き続き有効ですので、経済負担については主治医と積極的に相談してください。
今後、来年にもインチュニブは後発品が出てくる可能性がありそうです。願わくば、今販売をしている武田製薬さん、発達障害関連で私たちに医療者にしっかりした情報をくださったり、ネットワークづくりにご尽力いただいていますが、是非後発品発売後も活動を続けてくださればと思います。
気になる薬の価格はこちらのサイトがお勧めです。
今回取り上げた中では、アトモキセチンは製薬会社によって多少の変動はあります。
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発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)
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