こんにちは。スタッフ齊藤です。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は「就労◯◯支援」について簡単ですがお話しようかと思います。
◯◯には一体何が入るのでしょう?ご存知の方もいるのではないでしょうか?
正解は、「継続」「移行」「定着」の3つです。
就労継続支援、就労移行支援、就労定着支援。
いずれも障害者の就職を支援する制度になりますが、その役割はどれも大きく異なります。
障害者総合支援法
3つの「就労◯◯支援」は、上記の法律において定められています。
障害者総合支援法、正確には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」という名前です。とても長いですね。
この法律の条文からキーワードを少し挙げておきます。
“第一条
この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、(中略)障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに関わる給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、(中略)安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。”
“第二条−4
国及び地方公共団体は、(中略)必要な障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制に努めなければならない。”
“第五条
この法律において「障害福祉サービス」とは、(中略)就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助をいい、「障害福祉サービス事業」とは(中略)その他厚生労働省令で定める施設において行われる施設障害福祉サービスを行う事業をいう。”
このように就労移行支援・継続支援・定着支援の3つは、「障害福祉サービス」の事業となります。(ちなみに、介護もこのサービス内に含まれます。)
そして第二条-4に載っている相談支援というのは、障害福祉サービスを利用するときに必要となってくるものになります。
就労「継続」「移行」「定着」の違いは?
これも詳しい説明が条文に載っています。が、簡単にまとめると以下のようになります。
(ちなみに、就労継続支援にはA型とB型の2つがあります。)
就労継続支援A型・・・一般企業等での就労が困難な方につき、雇用契約に基づいて働く機会を提供するとともに、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練を行う。利用期間の制限はなし。
就労継続支援B型・・・一般企業等での就労が困難な方につき、雇用契約に基づかない生産活動の機会を提供するとともに、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練を行う。利用期間の制限はなし。
就労移行支援・・・一般企業等への就労を希望する65歳未満の方につき、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練、求職活動に関する支援を行う。利用期間は原則2年。
就労定着支援・・・一般企業等に就職した後に、就労面や生活面で課題が生じている場合、関係機関と連携をしながら、問題解決への相談・助言等のサポートを行い就労継続を図る。利用期間は3年。
いずれもちょいちょい違いがあるのがお分かりでしょうか。
就労移行支援と就労継続支援はどちらも、「就労に必要な知識や能力の向上」のための訓練をするのですが、就労移行は「訓練」をする場所であり、就労継続は「働く(生産する)機会を提供する」場所であります。
そう考えると、「働く(生産性のある)」就労継続にはもちろん賃金が発生します。(就労移行は就職のための訓練をする場所であるため、賃金の発生はもちろんありませんし、在職中の方は就労移行の利用ができません。)
そうすると、じゃあ就労継続A型と就労継続B型の違いは何なのか?という事なのですが、
A型は「雇用契約に基づいて」利用する場所なので、最低賃金が保証される。
B型は「雇用契約に基づかず」利用する場所なので、成果報酬として工賃が支払われる。ただし工賃は全国一律で決まっているものではないので、出来高制で支払われるのか、一日定額で支払われるのか等、利用するB型事業所によって異なります。
厚労省の発表によると、平成30年度のA型事業所の平均賃金は76,887円/月、B型事業所の平均工賃は16,118円/月のようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000571834.pdf
同じ就労継続支援なのにこんなに差があるなんて、と驚く方もいるかもしれませんね。
差が大きいということは、A型とB型の内容もだいぶ違うという事です。
A型は「働く機会を提供」となっていることもあり、それなりの労働力を求められます。一般就労に近い形で、ある程度しっかりと働きそれに見合った収入を得る、といった感じでしょうか。
一方でB型は、「生産活動の機会を提供」する場であることから、体調や障害に合わせたマイペースな利用ができます。あまり負荷がなく短時間の作業や週に数日間の活動といった、A型より福祉的要素が大きい(強い)のではないかと思います。
最近できた就労定着支援
就労定着支援は、2018年4月に創設されました。
就労移行支援等を利用している方の就職が決まった場合、その後のフォローは就労移行支援が引き続き行っていたのですが、その期間は原則6ヶ月間です。では、その6ヶ月が過ぎたらどうしたらいいの?というと、就労定着支援の出番となります。
「就労定着支援事業所」と契約を結ぶ事で最長3年間の支援サービスを受ける事ができます(無料ではありませんが)。このサービスを利用する際は、上記でチラッと載せた相談支援がやはり必要となります。
では、就労定着支援の3年間も終了してしまったらどうすればいいの!?という事ですが、その後は「障害者職業・生活支援センター(通称;ナカポツ)」へとバトンタッチです。
(ナカポツについてはまたの機会にします)
このように就労後の支援体制は、「6ヶ月→3年→ナカポツ」という風にバトンタッチしていきますが、私が以前に就労移行支援事業所で定着支援をしていた時は、6ヶ月間における支援の頻度(主に定期的な面談や職場訪問、職場・業務調整等)は月日を追うごとに減っていってったかな、と思います。もちろん個人差はありますが。
むしろ就職された方から「上司に相談もできるので、支援はしばらくいらないです」「仕事にも慣れてきたし、毎月の面談は不要です。とりあえず何かあったら連絡します。」などのお声を頂くことが多かった気もします。
支援員としては、少しさみしい気持ちもしたのですが・・。職場への定着と自立が成されてきている、ということで本来は喜ばしい事なんですよね。
まとめ
以上のように、「働きたい、でもどうすればいい? 働いてる、でもちょっと不安・・」という時、私達は障害福祉サービスで定められた就労継続支援・就労移行支援・就労定着支援を利用することが可能である、というお話でした。
ちなみに就労移行支援は仕事を紹介・斡旋してくれると思われている方もいるのですが、あくまで就職への訓練をする場所なのでご注意下さい。
各福祉サービスの利用を希望される際は一定の条件もありますので、詳細は各支援事業所等に確認をされることをおすすめします。
それではまた次回。
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発達特性研究所 (RIDC: Research Institute of Developmental Characteristics)
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