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目次
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【視覚過敏への配慮】
どんな合理的配慮が考えられるか
感覚過敏は本人の努力でカバーできる側面があります。
視覚過敏であれば特定波長をカットするメガネレンズを付けたり、
聴覚過敏であれば特定周波をカットする耳栓を付けたりして、
日常の生活の不快感・ストレスを減らすことができます。
一方で、本人の努力だけではカバーできないこともあります。
特性に気付いた本人や周囲の家族や支援者は生活上の工夫をしていたとしても、
学校や職場、社会活動を営む場所で障害のない人と同じように過ごせるとは限りません。
本人と周囲の環境に合わせた合理的配慮を実施していくことが求められています。
それじゃあ、視覚過敏で悩んでいる人に対してどんな工夫ができるでしょうか。
例えば、文字を黒ではなく、グレーで書いてみる。
コントラストの差を減らすことで目の負担が減らせるかもしれません↓
このように見え方に差がありませんか(黒)
このように見え方に差がありませんか(グレー)
液晶ディスプレイや紙も「背景が真っ白」は目が痛くなったりします。
可能であれば少し淡い色をつけるなどすると良いかもしれませんね↓
学校であれば、教室内のちょっとした工夫でストレスが減らせるかもしれません。
見るものが多いとごちゃごちゃして脳が疲れるので掲示物を減らしたり、
可能な限りシンプルな色使いにすると黒板に集中できて良いかもしれませんね↓
もちろん、上記の例は一般的な視覚過敏に対する合理的配慮のほんの一例です。
私は合理的配慮というのは一方的な「してもらう」や「してあげる」ではなく、
お互いの意思の合意の上で、お互いが気持ちよく過ごすための工夫
だと思っています。
少しずつ社会は変わりつつある…?
日本での「視覚過敏」に対する理解はまだまだ乏しいです。
ネットで調べると、大部分が知覚過敏の打ち間違いで検索がヒットします(笑)。
でも、少しずつ日本社会も変わりつつあるような気がします。
配慮することへの抵抗感が薄れ、変化に寛容になりつつあると感じています。
私がそう感じた出来事の一つが、Twitterでバズった「グリーンノート」です。
見ての通り、普通の白い紙ではなく、薄い緑色の紙でできたノートです。
視覚過敏者にとっては光を反射しまくる「白」というのは眩しく感じます。
ましてや長時間使う学生さんにとっては勉強に集中できない要因になってしまいます。
グリーンノートは反射光を抑えることができるので目に優しいそうです。
私も高校生の頃、薄いグリーンのルーズリーフを自宅の勉強用に使っていました。
デスクライトの強い光の反射が少なくなって使いやすかった記憶があります。
ここでは「このノートがすごい!」ということだけを伝えたいわけではありません。
私がこの出来事がすごいと思ったのは、このノートが販売に至るまでの流れです。
Twitterでの「グリーンノート」の詳しい流れは以下のサイトにまとめられています。
【感動】視覚過敏の女子高生、ネット民に「グリーンノート」を探して欲しいと呼びかける→凄い展開に : 凹凸ちゃんねる 発達障害・生きにくい人のまとめ
高校生のSNS投稿に対して数多くの企業がすぐに反応して販売に至った事実は、
「辛い」「困っている」という個人の声で社会を動かせるという証拠に他ありません。
このニュースを後から知った私ですが、詳細を知るのに時間は掛かりませんでした。
各種メディアがグリーンノートの出来事を報じていたからです。
「白いノートを眩しく感じる人(視覚過敏)がいるんだ!?」と
メディアを通じて、視覚過敏という言葉を知る人がかなり増えました。
「社会に出ても支援がある」「声を出せば届く」
そんな日本社会に少しずつ変わってきたのかもしれませんね。
【後書き】
感覚の違い(=自分とは異なる世界)があることを認識する
繰り返しになりますが、感覚の受け取り方には個人差があります。
その偏りが大きすぎたり小さすぎたりすると日常生活で困る場面が出てきてしまいます。
同じ刺激でも感じ方には個人差があることを知って、
「あの人はこう感じているのかもしれないな」
「もしかしたらあの人にとっては辛いのかな」
「そういえば自分にもこういう特性があるな」
などと意識しながら過ごしていくことが大事ではないでしょうか。
この記事を書くにあたって視覚過敏の特徴を調べてまとめてきました。
私はコントラストが辛いといった声を聞いてもあまりピンときませんでした。
「それってどんな感覚なんだ??」
自分の感覚と違うものを想像したり理解するのは非常に難しいと思いませんか?
そこで、感覚の違い(=自分とは異なる世界)があることを認知しておくことは重要です。
イギリスの自閉症協会がYoutubeに公開した”感覚過敏の特性をもつ子どもが見る世界”
を再現した以下のVR動画を見てみてください。
実際に体験してみると、認識が大きく変わりませんか。
感覚の違い(=自分とは異なる世界)を信じる
当たり前の日常の中にも多くの感覚刺激(光・色・音・匂いなど)が潜んでいます。
多くの人が(他人にわかりづらい)ストレスを抱えながらも努力しながら生活しています。
私は片頭痛持ちが背景にあり、体調が悪い時に光に対して過敏になります。
ただ、これが発達特性の視覚過敏と同じかどうかは分かりません。
それでも、他の人が辛いと思わない「ささいな光」が辛いことには変わりません。
知識があると「発達だからこうだろう」という憶測をしてしまいがちです。
ですが、どんな病気だとかどんな障害だとかは関係なく、
その人の言う「感覚の世界」をまず信じることが大事ではないでしょうか。
私がとても共感した当事者のブログがあったので、以下引用とともにリンクも貼っておきます。
「我慢できる」は「我慢している程度には辛い」
いちばん反応をいただいているかな?というのが若干戦略っぽいこちらです。 「大丈夫です」と「言ってしまう」のを、「とりあえず我慢できる」と言ってみていること。 その捉え方は人によりけりで、「あ、我慢できるならいいよね」ともとれます。 けれどこれを「今すぐどうってことではないけれど、辛いんだ」という捉え方もできます。 書いてみてわかりましたが、これ前者は「勝手に「いいよね」と結果を決めている」のに対して、後者は「辛いんだ(いいのかダメなのかは言及していない)とだけ認知してくれている」んですね。 だから余計にありがたいな、と感じる捉え方だとわたしは思うのかもしれません。
伝える、対処する、というコスト、半分こしてくれないかなあ
環境によってはそうとは限りませんが、感覚過敏や感覚の特異性をもつのは大抵少数派で、現在世の中や世の中の認識(いわゆる「ふつう」みたいなもの)というのは多数派に合わせた仕組みに「多数派ナイズ」されているような状態。 その中でまず「自分の生まれ持ったこの感覚はどうも、人とは違うらしい」と気づき、「どうにかうまく生きてゆくために対処を考え」、「そういう一連のわかってもらいにくい事柄をどうにかこうにか他者に伝える」ということを、少数派が担っています。 どうにか、こういうコストを半分こしてくれないだろうか? とついつい思ってしまいます。 耳栓を半額出してくれとはいわないけれど。 「自分の生まれ持った感覚はどうも、多数派らしい」と気づき、「少数派と否応無くともに生きる術を考え」、「一連の感覚のすり合わせを一緒にして、信じて、聞いて」はくれないかなあ。 くらいは、思っています。
感覚の特異性をもつ人は、コミュニケーションにも困難を抱える場合があって、「伝える」ことはもしかしたら通常の倍のコストがかかっているかもしれない。(これって多数の人にもわかる感覚じゃないかと思いますが)そうすると、「自分で、一人で対処したほうが責任も自分だけだし、楽じゃないか」「自分だけが辛いほうが、極端なことを言えば、自分を殺すほうが、他者と考えをすり合わせるよりは、楽。まし。(どうせ信じてくれない)」という思考に、無意識にも意識的にもなってしまうっていうのも…。
信じてほしい、わたしの感覚
ただそれだけで、ちょっと楽になる、ちょっと体力が増えちゃうことだってあるかもしれません。 まず、とにかく、わたしは、信じてほしいなあ、となんだか思います。 そして、今、インターネット上や、現実の片隅に、信じてくれる人、一緒に考えてくれる人がいることが、たいへん喜ばしいです。 そういうことの積み重ね、本当に些細で、それがものすごくたくさん積もったもので、「伝えてみようかな」「頼ってみようかな」の芽が出るんじゃないかなあ。 (もちろん、うまくいかないこともあるけれど。それは、誰が悪いわけでもなく、ただただいろんな環境や運が、うまく回っていないことなのだろうけれど。)
本人が自分の特性を理解し、それを周囲に伝えていくには
感覚過敏は言わなければ相手には分かってもらえません。
なので、「こういう時、こう感じて困っているから、こうして欲しい」と
積極的に周囲に伝えていくことが大切だと思っています。
最後に、自分の特性の理解と相手への伝達に役に立ちそうなものを紹介します。
言葉で伝えられなくても、道具や仕草でも伝えることは可能です。
感覚過敏に悩む中学生の加藤路瑛さんが運営する“感覚過敏研究所”では、
とても可愛らしいデザインの缶バッジが作られています。
言葉以上に周囲に特性を伝える手助けになっているようですよ。
(2020年6月18日から一般販売開始したようです)
「困りごとのトリセツ(取り扱い説明書)」というNHKの発達障害プロジェクト公式サイトは、
多くの投稿者の困りごとやその対処法が載っていてとても参考になります。
“わたしのトリセツ(pdf)”は自分の特性を整理するのに便利です。
無料なのでぜひ印刷して使ってみてください。
「うちの火星人」は発達障害のお母さんとその子どもたちが描かれた書籍です。
色んな”発達特性”を発揮する家族の日常と動物のイラストが合わさり、コミカルでとても面白いです。
この本で出てくる”取扱説明書”は、「こういう時、こうして欲しい」
が自分で再認識でき、かつ他人に伝えられる非常に良い例だと思います。
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