皆さま、
ライデック代表です。
ゴールデンウイークが始まりましたね。
未だにコロナ禍続いており、時には周囲の方に感染されたりといった経験もあるのではないでしょうか。幸い軽症で済むことが多いオミクロン株ですが、まだしばらくは注意が必要のようです。
さて、今日は弊社開発のアプリを再度紹介します。
Rey-recoder
以前ご紹介した、「Rey-recoder」というReyの複雑図形課題の実行を容易にするアプリですが、既にバージョンアップを済ませて公開中です。
以前ご紹介したとおり、(株)シートカルクさんと共同開発したWindowsタブレット用アプリで、 ちょっと値が張るのと、専門家仕様なので、心理系研究者・教育関係者向けアプリです。(タッチ機能付きディスプレイ仕様のPCなら一応動くし、運用可能ではあります)
Reyの複雑図形や、アプリで何ができるか、は以前私が書いたブログを是非ご参照ください。ものすごく簡単に言うと、Reyの複雑図形の描き順を記録することでビデオを見直さなくても被検者の描き方を1枚の画像で評価できるアプリだったのがバージョンアップ前です。
バージョンアップ概要
さて、旧バージョンに欲しかった機能は、描き方を再現する、ことでした。
そのため、今回は被検者が描く1ストローク(一筆)ごとに、画像が別々に自動保存されるようにしました。
その自動保存された画像と、パワーポイントのようなプレゼンテーションソフトやフォトショップのような画像処理ソフトを組み合わせると、ビデオで振り返ったように被検者の描き方を再現できます。
具体的には(株)シートカルクさんが作ってくださった動画と次章をご参考ください。
パワーポイントを使った活用例
Reyの図形の描き方は本当に人それぞれです。
例えばこの方はかなり標準的といえるような描き方をしています(何が標準的かは一応秘密です)。
これをどのように描いたか、動画を見てください.
どうでしょうか。複雑図形をこの被検者さんがどのように描いたかわかりやすいでしょう?
この動画(アニメ)の作り方は以下の通り。
無地のスライドを用意した上で、
1.挿入→画像→画像をファイルから挿入→Rey-recorderで作成された画像フォルダにある全ての画像を選択
2.挿入した全ての画像を選んだ上で下図のようにアニメーション設定
(タイミングを直前の動作の後、継続時間を0.5秒)
基本、これだけです。
ただし、画像を挿入した時に、全ての画像が重なっていることが必要です。
もし不揃いな場合には、全ての画像を選んだ上で、整列→左右中央揃え、でピッタリと重ねてください。
以上、Rey-recorder ver.2の紹介でした。
Reyの複雑図形の描き方については、幾つかの採点方法があるのですが、Rey-recorder ver.2を使うことできっと容易になることでしょう。
このアプリがRey-Osterriethの複雑図形検査を行ってみたいと考える方のお役に立つことを願っています。
尚、科研費など研究費を使っている皆さんはおそらく一旦クレジットカードでご自身による立て替え払いが必要になるかと思います。ご不便かけます。それが難しい場合は(株)ライデックもしくは(株)シートカルクまでご連絡ください。
以前紹介した本をそのまま再紹介いたします。
著者は医療少年院で働いた経験のある精神科医です。そこにいる少年たちは当然何かしらの犯罪を犯しているからこそ居るのですが、ある少年にReyの図形を書かせ、驚愕した経験が記されています。あまりにも形が歪み、原型を留めず、複雑図形の構成要素がほとんど壊れてしまっていたのです。
衝撃を受けた著者は、そうか、こういう子にとって世の中がこのように歪んで見えていたとしたら、見る力が(そしておそらくは聞く力も)とても弱いために社会で生きづらく、それが非行に走らせた原因ではないかとの気づきを得ます。
少年院では刑務官たちが少年を更生させようと試みるものですが、そもそもの認知能力が発達してもいない中で単に長く説教したり、反省を促しても意味がない、ということですね。適切に発達していない認知能力のために学習ができず、学校からドロップアウトしていき、犯罪につながった少年が多いのです。
著者は少年たちの認知能力を発達させる様々な試みをしたようで、非常に興味深い本です。
認知能力検査といえば代表的なものがいわゆる知能検査(WAIS、子供向けはWISC)ですが、人の認知能力はそれだけで説明できるものではありません。例えば、人間を人間たらしむる、脳の前頭葉機能はWAISでは十分に測れず、様々な認知能力テストを組み合わせて始めてうかがい知ることが可能です。
普段使わないような検査も含めて、殆どの検査法とその意義についてまとめられた辞書的書籍です。専門家はとりあえず持っておくことをお勧めします。
Reyについてもかなりのページを割いて解説しています。最新の研究成果まではカバーできないのは難点です。
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